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院長の日記

第65回 日本臨床眼科学会

2011年10月10日

 自分自身の知識のアップデートのために、学会に参加してきました。今回の会場は東京です。

 ドライアイやまぶたの疾患の新しい治療や、最新の白内障手術…等々、ほんとうに盛りだくさんな内容でしたが、最近特に注目されているテーマに「近視の進行予防」があります。

 現在のところ、近視の予防といっても、将来重篤な合併症を引き起こす可能性があるような、強度近視を防ぐことが第一の目的ではあります。

 近視の進行を防ぐための、特殊なめがねやコンタクトレンズ(ハードコンタクトを夜間装用するオルソケラトロジーという方法によるもの)の研究が行われています。

 まだ、研究段階ですので問題や不明点も多く、特にオルソケラトロジーについては、お子さんへの使用もガイドライン上認められていないこともあるので、日本での実用化はまだまだではないかと思いますが、アジアの一部の国では盛んに行われているようです。

 では、今の時点で近視の予防はできないのでしょうか?

 よく「めがねをかけると近視が進む」と心配される方がいらっしゃいます。以前眼科では「そんなことはない」と答えるのが一般的でしたが、最近めがねやコンタクトで実際に近視が進むという研究結果がでています。

 しかし、それはめがねやコンタクトが過矯正(強すぎる)場合の話であって、やや弱めであれば、理論上問題はないはずです(詳しく書くと長くなるので、知りたい方は診察室で!)。

 ただ、お子さんの場合、調節緊張という力が働きやすいので、視力等の検査時に、普通に測ると実際よりも近視が強い検査結果になってしまうことがよくあります。これを信じて、めがねやコンタクトを処方してしまうと、結局「強すぎるめがね(又はコンタクト)」になってしまいます。それらを防ぐためには、時間はかかっても、調節力を休ませる目薬を使ったり、雲霧(レンズや機械を使って調節力を出にくくする方法)をしたりして、慎重に処方する必要があります。

 ちなみに、みどり色のものを見ることは、理論上、近視の進行予防になるようです。

 眼科医としては当たり前のことなのですが、学会を通じて、改めて、お子さんへのめがねやコンタクト処方の大事さを感じました。

 外来を休んでしまい、患者さんにはご迷惑をかけてしまいますが、やはり、時々学会へ行って、色々な刺激を受けることは大切です。これからもどうぞ、よろしくお願いいたします!

【写真】


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土屋眼科の院長 土屋祐介が、つれづれに日記を書いております。
時には眼科医目線で、時には趣味人として不定期に更新していきますのでよろしくお願いいたします。